Archive for 10月 12th, 2010

裏方の裏方

裏の裏は表じゃないか
いや、そんな話ではなく、砥石の話です。
家で魚をさばかれる方からリクエストがあったので、はしょって書いてみます。

まずは、よく使う砥石セットです。

右から
セラミック系の砥石  荒研ぎ用 400番
二番目の濃い緑が同じくセラミック系の中砥石 1000番
三番目の褐色がセラミック系の仕上げで3000番  普通はこれで研ぎ上がります
台に乗っている壁色が普通タイプの3000番ですが、同じ3000番でも
セラミック系より研ぎ上がりがしっとりして5000番くらいの感じです。
これは長く使っているので厚みはもう7ミリくらいで、いつ割れるか心配しながら使っています。
その横の銀色がダイヤモンド砥石で中目の表示で400番よりやや荒い感じです。
一番左がダイヤモンドの荒目でこちらは刃物の形をかえるとか、よぼどひどい刃こぼれに使うだけで
もう研ぐというより鉄を削るといった感じです。
下の黒っぽいゲジゲジは砥石を平面に研ぐ砥石です、これは必要です。
砥石が凹んでいたら研ぎ師でもきちんと研げません。

セラミック系を使い始めたのはまだここ数年です。
砥石に関して書くにはどうしても包丁の話が切り離せません。
ステン包丁は錆びない切れない安物という時代は昔の話で、かなり切れる包丁が作られています。
青紙や白紙といった炭素鋼に劣らず、ねばり強く錆びないといったメリットを考えればプロでもステンレス包丁の方が便利な場合もあるでしょう。

青とか白とかはハガネの種類です。
簡単に言えば普通は地金にハガネをくっつけて包丁が出来ています、霞と言われます。
ほとんどの包丁がそうで、板前さんが普通に使っています。
地金部分が柔らかく研ぎやすい使い勝手のいいすぐれた包丁です。
もう一つこだわると霞より上位の「本焼き」です、全体がハガネで刃先部分だけ焼き入れをします。

さらにこだわれば「水焼き入れ」「油焼き入れ」・・・これはもう関係ないですね。

本焼きは鍛冶屋と刃物を使う人の、「妥協無し」というこだわりでしょうか。
霞もすでに完成された日本のすばらしい包丁ですがハガネと地金を高温で合わせると
互いの金属の性質が混じり合うというか、どうしてもハガネの性質が一部損なわれる部分があるんじゃなかろうか
そんなふうに想像しています。
もちろん鍛冶屋さんはすべて理解して打っているわけで、霞も素晴らしい包丁です。

何を言いたいかというと、硬い本焼きも粘りのあるステン系の包丁もセラミック砥石なら研げます
(超高価な青の本焼きをガシガシ研ぐ人はいませんが(^^;)

普通の出刃も柳刃も魚をさばいた状態でまな板の上に30分も放置すればもう錆びが始まります。
刃先は3000〜5000番で仕上げているのでなかなか錆びませんがシノギ部分などに
中砥の砥石目でも残っていたらすぐ錆びます。
その包丁で刺身を引けば金属臭が心配です。
自分のようにお客さまの食事時間にあわせて刺身も引けば焼き物もする、時には天ぷらも揚げるといった場面では、錆びは結構ストレスになります。
2年前からグレステンの出刃を使い始めました。
研ぎ直後のハガネの出刃の切れ味が10とすればグレステンは9くらいでしょう
でもハガネ出刃が数日で切れ味が5くらいになってもステン出刃は8くらいが長く続きます。
それに錆びも出ず、金属臭はまったく無し。
通常はハガネの出刃を使っていて、状況によってステン出刃を使っています。
ステン系柳刃への偏見も薄れて来ました。

砥石の話に戻ります。
ダイヤモンド砥石、ガラス砥石、セラミック系砥石と種類はありますがセラミック系の砥石が
一番無難ではないでしょうか。
ステンレス包丁も研ぐならばセラミック系の400、1000、3000番がベストと思います。
2年くらい前、3本で二万ちょっとくらいでした、今はもっと安くなっているでしょう。

研ぎ方はシノギから刃先まで丸くならず真っ直ぐになるベタ研ぎが一番簡単です。
最後に刃先部分の角度を少し鈍くして裏を糸引きにすればかえりも取れて長切れする包丁に仕上がります。
家庭用ならそれで十分です。
(自分は刃先をややはまぐりにして糸引きは表に微かに付ける程度です。裏の研ぎを最小限にするためです。長く使ってベタ裏になってしまうと出刃は我慢出来ますが刺身包丁は使いにくいです。はまぐりの程度や糸引きの具合は包丁一本一本すべて癖があり用途も異なるので大きさや角度は変わってきます。切れが続かない、刃先が滑る、刺身を引くのに重い、身離れが悪い、等々の理由で、肉眼でわかるほど二段刃もあれば仕上げ砥の上を一度なめるだけの糸引きもあります)

すべて包丁がステンになるかかどうかはわかりません。
しかし自分は炭素系の包丁を手放さないと思います。
研ぎ上げた青の本焼きの何とも言えないような姿は・・・・・・

刃物と砥石にこだわり過ぎると、別の世界へ行ってしまいそうで、ちょっと怖いです。

切れる包丁に研ぎ上げるのは仕事で必要な作業ですが、それ以上に
無心に研ぐという行為は自分にとって精神衛生上重要な時間でもあります。

2010年 10月 12日 | Friends and People | 裏方の裏方 はコメントを受け付けていません

篠島 南風丸釣果

昼飯をかっ込んで出港しました。
錨を入れたのが1時半で、すでに下げ潮がぬるんでいました。
出遅れ感からダメかなの予感通りアタリは無し、底潮が満ち潮方向にきいてくるまで粘りましたが
結局3時までまったくアタリ無しでした。
去年見つけたばかりの大物を何匹かあげた新しい満潮のポイントに錨を入れ
オモリ無しのふかせで8ヒロのばした所で微かなアタリに思いっきり合わせると
道糸が吹っ飛んでいきました。
20ヒロまで出た所でなんとか止まり、慎重にやり取りしてタモに入ったのは70センチくらいで
3.6キロのアイシャドウのきれいな真鯛でした。
速くなって行く潮に合わせるようにオモリ無しで空糸のまま伸ばし、11ヒロで1.5キロを2匹
18ヒロで1キロ前後を3匹釣りました。
低い雲に太陽が落ちた5時くらいに27ヒロで小さなアタリに合わせると、また10ヒロくらい
もっていかれる強烈な引きでなんとかこちらに向けた直後に痛恨のバラしでした。
結局大鯛1、まずまず5、塩焼きサイズ3で、大きくなって帰って来いと
リリースした小鯛が4、5匹あったと思います。

これはご愛嬌 ↓
最初はクロダイのアタリかと思いましたがちょっと変で手繰ってエサを見ると
エビの背中がかじってあります。こんな食い方をするのはアオリです。
すっと重くなるクロダイの微かなアタリに比べるとアオリも重くなるけど、
重くなり加減がなんとなく下品(笑)
大鯛が食いそうな潮に何度もジャマするので餌木を流すと一発で乗りました。
新子にしてはいいサイズでした。

猛暑の影響を心配していましたが、秋の恵みは今年も来てくれました。

2010年 10月 12日 | fish on ! | 篠島 南風丸釣果 はコメントを受け付けていません